欲しいけど言わないで


「深見?大丈夫か?」


――だけど、そんな仮面を被ってるのも限界なのかもしれない。


「あ、本当に深見さん顔赤いですよ!」

「酒強い方なのに珍しい」


今まで結婚話で盛り上がってた人達までもが私に目を向ける。

いつもは私にちやほや声を掛けて来る男達も今日は殆どこちらを見向きもしなかった癖に、何でこんな時だけ…

しかも、こんな時に1番最初に私の様子に気付いたのも彼で、やっぱり周りをよく見てるだけ有る。

細やかな気遣いが出来るのは彼の魅力の1つだけど、今日は嬉しく無い。


「おい、聞いてるか?ほら、もう飲むな」


ちょっと飲み過ぎた位じゃ顔にも出ない私なのに今日は顔が熱い。

自覚出来る位だから、周りから見たら相当かもしれない。

そんなだって飲んでも居なきゃやってられない。



『だぃじょーぶ…って、あ!返してくださいー!!』

「ダメだ。明日も仕事だろ?」



私の手からお酒を取り上げた彼。

みんなの前だからって上司面?



「深見先輩大丈夫ですか?」


心配そうな顔しちゃって、あんたの隣に居る男が私と何してるか知ってる?



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