【続】赤い糸のその先は…。
思い出して苦笑いをしていた課長は何を思ったのか、
「ゆずが俺のマンションで一緒に暮らせば、
裕也さんも安心するんだけどな。」って耳元で囁いてきた。
うぅぅぅ。また、その話ですか。
我が家のみんなが、
それぞれの伴侶を見つけて家を出て行くことになってから、
課長には「一緒に暮らさないか?」って言われてた。
でも、断ったの。
だって、マンションじゃ茶太郎を飼えないでしょ?
茶太郎は、両親を早くに亡くした私の為に、
お兄ちゃんが我が家に連れてきてくれた茶トラの雄猫。
人間の年に換算したら、もう、おじいちゃんだ。
だから、茶太郎が静かに過ごせる環境で一緒に暮らしたいの。
私が課長を見上げると...
課長は分かってるよって頭をクシャリと撫ぜてくれた。
私だって、課長と暮らしたいんだよ?