笑顔を見つめて






「お母さん優しいから謝れば許してもらえるよ…」







………は?



謝る?誰が誰に?




「…何、言ってんの?」




声が震えた



怒りで驚きで悲しみで




照……どうして




「私もついていってあげるから」



そんな残酷なことが言えるの?



あなたは嫌われたことがないからこの辛さ分からないよね?




謝れば許してもらえる?


ふざけたこと言わないで!



そんなのただの理想でしかない!





私は無意識に手があがり
気が付いたら照を叩いていた



「っ……!」



床に倒れる照




「何……?…照!!」



物音に気づいたお母さんが照のもとへ慌てて駆け寄る




それを茫然と眺める



「なんてことしてるの未沙!!照に謝りなさい!!」




涙を目に浮かべ驚きの表情で私を見る照と




顔をしかめ明らかに私を敵視している母







「…………」



何も言葉が出なかった




言いたいことはたくさんあるのに





初めてお母さんに名前を呼ばれたというのに


ちっとも嬉しくない





ただただ頭が真っ白で目の前がぼやけていくだけ



私はこんな時でも渇いた笑いが零れた






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