鈍感ガールと偽王子
「なんでだよ!?」
「だ、だだだって、無理!!」
どもりすぎだろ!?
そう突っ込むべきか。
おたまをぶんぶん振り回しながら、首もぶんぶん振ってる彼女に、
振りすぎだろ!?
とその奇怪な動きを止めてやるべきか。
どうしようか、と悩んでいるうちに、首が痛くなったのか美結は動きを止めて、手に持ったおたまをキッチンに残し。
部屋のこたつに入っていた俺のところにぱたぱたと駆け寄ってきた。
濃いブラウンのふわふわした髪を、今日はポニーテールにしていて。
膝を折って俺と視線を合わせた彼女は、きゅっと形のいい眉を寄せていた。
…俺の彼女、篠原美結。