鈍感ガールと偽王子
「椎…じゃなくて、颯多くん。だって、今日は見たいドラマが2つもあるんだよ?」
「ここでみればいいじゃん」
「そんなの、せっかく颯多くんといるのに、もったいないでしょ?」
……。
こいつ、鈍感に加えて天然になったのか?
こんな恥ずかしいセリフ、付き合う前は言わなかったじゃねーか。
「……だから、泊ってけって言ってんだろ…」
「だだだだから、それは無理だって…、きゃ」
細い手首を掴んで引き寄せる。
軽い身体は簡単に傾いた。
「……顔赤いけど?もしかして、なんか変なこと想像してる?」
さっきから、「泊っていけ」と「無理」の応酬だった。
キッチンにいるときは気付かなかったけど。
…こいつ、すげー顔赤い。