鈍感ガールと偽王子
だけどさ。
蕎麦なんか、本当はどうだっていいんだ。
本当に欲しいのは、そんなんじゃなくて。
「俺、美結と一緒に年を越したかったから呼んだんだけど?」
「…へ」
「別に、無理に先に進もうなんて考えてねぇよ。…ただ、一緒にいたかっただけ」
「颯多く」
なんだか気恥ずかしくなって、赤くなりそうな顔をみられたくなくて。
どうしようもない恥ずかしさを、ちゅ、と軽いキスで誤魔化した。
…ほら、そしたら美結の方が赤くなるだろ。
ストレートに言わなきゃこいつには伝わらないって、分かってるけど。
でも、恥ずかしいもんは恥ずかしい。
「……と、泊る」
赤くした顔で俯いて、美結はぽそっとそう言った。
「……え」
「だから、今日はここに泊る!!」