鈍感ガールと偽王子
「な、なんであたし…服、着てないの…?」
あたしは普段からちゃんとパジャマを着て寝る派で、ベッドに裸で横たわるような習慣はないし。
お酒を飲んだからって脱ぐような癖もないはずで。
…いや、でも昨日はいつもとは違う酔いかただったし、もしかして後者はあり得るのか…?
「……」
あたしの問いに、何故か椎葉くんはひきつった笑みを浮かべていた。
こ、怖いんですけど。
あたし、何しでかした?
「ね、ねえ、なんで黙ってるの?」
「いや…、まさかしらふだとそんなに嫌がるとは思ってなかったから、言い辛いんだけど、さっきの冗談っていうのは嘘で…」
「はあああ!?」
さっきからなんなんだこいつは!!
え!?
つまりやっぱりヤっちゃったってことなの!?
「あー…、いや、嘘っていうか、なんていうか」
椎葉くんは言いにくそうに視線を伏せ、頭を掻いてドカッとベッドに座りなおす。