鈍感ガールと偽王子


「……え、でも、なんで?」


そんな中途半端な真似…。


そこまでやったなら、最後までやっちゃいそうなのに。


きっと何人もの女の子と付き合ってきて、こんな一晩だけの関係とか、慣れてそうなのに。


なのに、なんで。



「言っとくけど、誘ってきたのそっちだかんな?」



椎葉くんは拗ねたように言ったけど、あたしが聞きたいのはそこじゃない。


昨日のあたしはどうやらいつもとは酔い方が違ったようだ。


覚えてないんだから、誘うようなことをしていたと言われても心外ではあるがはっきり否定はできない。



「そうじゃなくて。どうして、途中でやめてくれたの?」


「……」


「あ、そっか、物足りなかったか。あたし自分で言うのも悲しいけど全然スタイルとかよくないし」



どちらかと言うと痩せてる方。


でも、そのせいかわかんないけど胸はないし。


多分抱き心地なんかも良くないし。


男から見て魅力的な体型からは程遠いと思う。


こう…、出るとこ出てます、みたいのがいいんだよね?多分…。




…なんだろう、おかしい。


さっきまでは、こいつに抱かれたことが信じたくないくらいイヤだった。


でも、今はむしろどうして途中で止めたのかと腹が立っている。


勢いでも抱けない程度の女なの?


あたしって…。

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