鈍感ガールと偽王子


「よ、よかったじゃない?」


「そうね最初はあたしも浮かれたわよ。でも、にっこり笑って王子はあんたのことを言ってきたの!!」


「あたし?」


やっぱりメモ書き程度じゃダメだった?


そうだよね、一晩泊めてもらったんだし、せめてもう少しちゃんとお礼をすべきだったか…。



「そう!『昨日美結と一緒にいたよね?』って訊かれて、はいって返事したら、
連絡先教えてって言われた!!」


「え、よかったじゃん」


「バカ、あたしじゃないわよ。あんたのに決まってんでしょうが!」



呆れた顔で沙奈はそう言った。



「え!?まさか教えちゃったの!?」



「教えてない。さすがに勝手に人のアドは教えらんなかった」



「さ、さすが沙奈様!!」



できればもう二度と関わりたくない。


もし黙って出てきたことにご立腹なら、菓子折でも持って直接お邪魔して終わりにしたい。



「で、それならってことで、王子からアドレス預かってきたから」


「……へ?」



沙奈は一枚のメモをテーブルに置いた。



「なんでもいいから連絡くれってさ。なんなの?いつの間にそんなことになってんのよ」


沙奈はおもしろくなさそうに頬を膨らませた。


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