鈍感ガールと偽王子
あたしは再び紙を手に取って、書かれているメールアドレスを打ち込んだ。
これ、なんて送ればいいの?
「……」
しばらく悩んだけど、結局無難に『篠原美結です。これからよろしくね』とだけ打った。
それでここからまた悩んで、文末に絵文字をひとつだけつけて、送信した。
……何も、間違ってないよね?
送った後で不安になっていると、ピロリンと携帯が鳴った。
「返信早っ!」
メールは椎葉くんからで、こちらこそよろしく、と書いてあった。
……こんな、なんでもないメールなのに。
あたしはどうしてか、ほわりと、心が温かくなったような気がしていた。