鈍感ガールと偽王子
ピンポーン…
「…よ!」
「おじゃまします」
メールの通り19時に椎葉くんの部屋のインターホンを鳴らす。
部屋のドアを開けて顔を出した椎葉くんは、いつもと同じようにラフな格好であたしを出迎えてくれた。
たぶん、部屋着なんだと思う。
はじめはもうちょっと、なんていうか、普通に外に出るような格好だったのに。
いつのまにか、こんなほぼジャージみたいな…。
いや、まぁいいや。
あたしなんかにカッコつけたってね。
「美結、晩メシ食った?」
あたしを迎え入れ、ドアを閉めながら椎葉くんは訊いた。
ガチャン、と背後でドアの閉まる音を聞きながら、あたしは靴を脱いで部屋に上がる。