鈍感ガールと偽王子
「え。そのカッコで行くの?」
なんていうか、王子っぽさ、本気でゼロですけど…。
「コンビニくらいセーフだろ。すぐそこだし」
「……誰にも見られないといいね、王子」
「俺はソースライスでもいんだけど?」
「えっ、ウソウソ!お願いします椎葉様!」
「仕方ねぇな!…じゃ、一応携帯も持ってくから、なんかあったら掛けて」
「了解っす」
椎葉くんは一度ニコッと悩殺スマイルを見せたあと、キッチンから姿を消した。
あんな顔して笑うから、王子なんて呼ばれちゃうんだよ…。
不意の笑顔に不覚にもドキリと鳴った心臓。
あぁ。
あたしって、やっぱ単純…。