鈍感ガールと偽王子
もう、椎葉くんを拒否し続けてかれこれ2週間が経とうとしている。
……それと同時に、恐れていたクリスマスが近づいていた。
こんな気持ちのままで、あたしはひとり寂しく聖夜を過ごさなくてはならないの
か…。
「はあーー…」
思わず大きなため息が出た。
「……美結、本当にこのままでいいの?」
向かいの席に座っている里奈が、心配そうな顔でそう訊いてくる。
里奈には、あの日見たことも、椎葉くんからの連絡を絶っていることも全て話していた。
今は研究室で次の授業までいつもの4人で時間を潰している。
「だって…。どうしようもないじゃん…」
机に突っ伏して、あたしは拗ねたように言葉を返した。
どうしようもない、というよりはどうしたらいいのか分からない、だが。
「何?美結、どうかしたの?」
「そういえば最近元気ないよね」
沙奈と瑞希もそう言って心配そうに声をかけてくれるものだから、あたしはなんだか泣きたくなった。
ごめんなさい、心配されるようなことじゃないんです。
ただ、あたしが弱いだけなんです…。