鈍感ガールと偽王子


もう、椎葉くんを拒否し続けてかれこれ2週間が経とうとしている。



……それと同時に、恐れていたクリスマスが近づいていた。



こんな気持ちのままで、あたしはひとり寂しく聖夜を過ごさなくてはならないの
か…。



「はあーー…」



思わず大きなため息が出た。



「……美結、本当にこのままでいいの?」



向かいの席に座っている里奈が、心配そうな顔でそう訊いてくる。


里奈には、あの日見たことも、椎葉くんからの連絡を絶っていることも全て話していた。



今は研究室で次の授業までいつもの4人で時間を潰している。



「だって…。どうしようもないじゃん…」



机に突っ伏して、あたしは拗ねたように言葉を返した。


どうしようもない、というよりはどうしたらいいのか分からない、だが。



「何?美結、どうかしたの?」


「そういえば最近元気ないよね」



沙奈と瑞希もそう言って心配そうに声をかけてくれるものだから、あたしはなんだか泣きたくなった。




ごめんなさい、心配されるようなことじゃないんです。


ただ、あたしが弱いだけなんです…。


< 99 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop