館‐yakata‐

「うそ!?やだ、私帰らないとパパに怒られるっ…!」

「あたしだって…ていうか彼氏いるし!」

「彼氏がいるのに入って来たの?ひどい…」

「…ちょっとおもしろそうって思ったんだよっ、あああ、どうしよう!!」

「そうだ!」


1人の女子高生が、先客の男の所へ駆け寄って行った。


「恋人になって!」

「嘘は嫌いだ」

「嘘だって何だっていいじゃん!とにかくここから出られなきゃパパに怒られる~!」

「この館は誤魔化しは効かない。俺もそう思ってあの人と恋人のふりをしたんだが、扉は開かなかったんだ」

「そんなっ…、えーん、どうしたらいいのぉ…!?」

「ユキ、泣かないでよぅ…、えーん…」


女子高生は2人とも泣き出した。
先客の女が2人に近寄り、背中をさすって慰めた。

そして自己紹介をした。


「メグとユキだっけ?私はアイコ。20歳。そして…」

「私はカノコ。…もうすぐ30よ」

「俺はケン。26歳」


< 2 / 111 >

この作品をシェア

pagetop