館‐yakata‐
「ここは外に出られないだけで何不自由ないんだよ。食料も魔法のように冷蔵庫に湧き出てくる。トイレもお風呂もあるの。私プー子だったから、ここ結構好き。お金のこと気にしなくっていいんだもん!」
そう言うのはおかっぱ頭で背の高いアイコ。
「まぁね…。でも私は仕事をかかえてたのよ!…いつかここから出られたとしてもきっとクビだわ…、はぁ…」
カノコはキャリアウーマン風のおば…おねえさんだ。
「…こんなの監禁事件だよ!俺は早くここから出たい。こんなところで恋人なんか探せられるかよ!」
ケンが大きな声でそう言うと、ゴォーッという音と共に、館が揺れ出した。
「キャーー!」
揺れは数十秒で治まった。
「地震か!?」
「ケンが侮辱するような事を言うから館が怒ったんだよ!この館、感情があるのよ」
「は?…まさか!アイコはマンガの見過ぎだよ!きっと誰かが裏で操ってるんだよ」
すると再び揺れ出した。
「キャーー!」
また数十秒で治まった。
「はは…、まさか…」