館‐yakata‐
タツヤはそぉっとアイコの顔を覗きこんだ。
アイコは慌てて顔を逸らし、台所から出て行った。
タツヤ:「アイコ!」
アイコ:「何よ…なんでついてくんの!?だめだからね、お酒は…!」
タツヤ:「酒じゃなくて…」
アイコは逃げ続け、タツヤは追い続けた。
マツ:「あ、タツヤくん、イカ…」
マツノスケの呼び掛けにも気付かず、通り過ぎていった。
マツ:「イカの刺身は?…春がきたかのぅ?」
マツノスケは自分でイカの刺身を取りに行き、ひとりで月見をしながらつまんだのだった。
タツヤ:「アイコ!」
アイコ:「もう、何よ!ついてこないでよ!」
タツヤ:「なんで泣いてんだよ!?」
アイコ:「泣いてなんかないよ!」
タツヤ:「うそつけ、ボロボロじゃねぇか」
アイコ:「…関係ないでしょ!」
タツヤ:「関係あるよ!こんなとこに閉じ込められた仲間だろ!」
アイコは急ぎ足で逃げていたが、ゆっくりになった。
タツヤ:「…なんで泣いてんの?」