館‐yakata‐
ユカリは黙って聞いていた。
アイコ:「はぁ、はぁ…」
ユカリ:「少しはスッキリしました?」
アイコ:「…少しだけね。あーあ…。モモコじゃないけど私も早く帰りたいよー…。ユカリはいいな。相手がいるんだもん…」
ユカリ:「そんな、私だって片思いで終わってしまうかもしれません…。自信も全くありません……」
アイコ:「ユカリ…」
ユカリ:「…ユウタさんの前に行くと緊張して、私…ヘンになっちゃうんですよぉ…!」
アイコ:「恋…してるんだね」
風呂上がり、アイコはめずらしくひとりで酒を飲んでいた。
そこへタツヤが通り掛かった。
タツヤ:「あー、ずりぃ!いつもうるさく言うやつがひとりで飲んでるー」
アイコ:「…………」
アイコは何も応えなかった。
タツヤ:「…俺も飲も」
2人は無言で酒を飲み続けた。
うつむいているアイコを、タツヤはずっと見ていた。
…また泣いてるんじゃないかと、タツヤは内心おろおろしていた。
アイコ:「……うっ」
タツヤ:「…どうした!?」
アイコ:「気持ち悪…………」
アイコはそこに吐いてしまった。