もう一度、恋をしよう

急な仕事で、両親とは別にホテルに向う。エレベーターホールで突然後ろ手を掴まれると、開いた扉の中に押し込まれた。

「新一郎……！」

振り返った背中に、思わず言葉を失う。彼の名前を呼ぶのも、顔を合わせるも、何年ぶりだろう。相変わらずお隣さんなのに。

「彼奈子。本当にあいつと結婚するつもりか？　あいつは俺の会社の取引先で、女癖が悪くて有名な男だ。うちの女子社員も被害に遭ってる」

ポン！と軽快な音と共に開いたエレベーター。再び腕を取られて、新一郎が持っていたカードキーで入った一室のベッドに押し倒された。