身代わり恋愛
「入るよ?」
優しい声とは裏腹に乱暴に開けられたドア。
そして、そのドアから現れた聖也の顔は心なしか怒ってるように見える。
そうだ。
自分の事で忘れてはいたけど、聖也が苦しくないはずない。
今でも好きな人が目の前で結婚するなんて、到底気分の良いものではないだろう。
「どうしたの?皆は?」
「まだ下にいるよ」
こういう時ってどうしたら良いんだろう?
明るくすべき?
それとも普通に声をかけるべき?
何事もなかったかのように笑ってるべき?
考えだけは浮かぶのに、実行する身体は上手く働いてくれない。