身代わり恋愛
そのまま家を飛び出すと、雨足がさっきよりも強まっていて。
でも、傘をさすなんて冷静に考えつかなかった私は、雨に濡れながら歩いた。
正直、追っかけてきてくれるかななんて淡い期待をしていた自分が恥ずかしい。
ゆっくりめに歩いて、後ろを振り返っても誰もいない。
やっぱり……。
私はその程度だったんだ。
所詮、聖也のおもちゃでそのおもちゃがどこにいこうが次のおもちゃを探すだけ。
出てくる時に握りしめてた携帯が、いつくもの雫を浴びて、ふと上を見上げると降り注ぐ雨が顔に当たる。
その日の暗い空から降り続ける雨は、なんとも私の心をそのまま表したような。
そんな天気だった。