身代わり恋愛

そこでふと気づいた。


聖也の笑った顔っていつから見てないだろう。



聖也が私に笑かけてくれたことってあったっけ…?



あぁ、昔はあった。




でも、あれはお姉ちゃんを好きな時だ。




それなら、あの笑顔はお姉ちゃんに向けられていた笑顔だった。



じゃあ、私は?





いつだって、聖也は私にこの顔を向けるんだ。



この辛そうで、瞳の奥に苦しみを秘めたような、切なそうな顔を。

< 73 / 108 >

この作品をシェア

pagetop