身代わり恋愛
「ごめんごめん、ちょっと意地悪だったな。気にしないでいいから」
引き寄せられた聖也の胸からはとくとくって音がする。
聖也特有の匂いに包まれると心から落ち着けた。
今なら言える気がする。
「私も、聖也のこと大好きだよ…。ずっとずーっと聖也だけだもん。でも、聖也もお母さんもお父さんも、皆お姉ちゃんが一番なのは分かってるから…」
正直な気持ちを言えた。
分かってる。みんなが、お姉ちゃんが一番なことは。
だけど、聖也はそれでも好きって言ってくれた。
それだけで十分だ。