初恋物語
入試の時以来の桜ヶ丘高校は、あいかわらず綺麗で立派な建物だと思う。

校庭には、大きな一本の桜の木が植えてあり、花壇も色々な種類な花が植えてあり、おしゃれな時計があったりと、理事長さんの好みで素敵にしているみたい。

桜ヶ丘高校は、部活動も盛んで、運動部は大会やインターハイでも優勝していたり、吹奏楽部も大会で準優勝していたり、演劇部も大会で入賞していたりと、とてもすごい学校らしい。

お父さんの突然の転勤で、北海道の高校を受けるつもりでいたのに、東京の高校を受けなくてはいけなくなった。

でも、東京の事が何もわからない両親が、東京に住む友達から、良い学校だと薦めを受けて受験した。

必死に勉強したおかげで、この学校に入ることが出来て本当に良かったと心から思った。

他の学校の評判はどうかわからないし、まず、桜の木があって、おしゃれな時計や、綺麗な校内に好感が持てたからだ。

「えっと…確か一年B組だったよね」

鞄から、事前に届いていたプリントを取りだし、クラス名をしっかり確認し、教室に向かう。

教室に着くと、黒板に書かれた自分の席に着席する。

嬉しい事に、窓側の前から二番目だった。

目が悪いため、前側はとても嬉しかった。

周りを見渡すと、やはり、皆おしゃれな子達が多い。

髪は金髪や、茶髪だったり、化粧をしていたり、派手な感じの人達が多い。

地味な感じの子達も何人か居るみたいで、少し安心したけど、もうすでにグループができているみたい。

一人ぼっちなのもしかして、私だけかもしれない。

友達できない気がしてきた。

まだ初日だし、まだわからないと自分を励ます。

窓から見える、大きな桜の木を見て、なんとか勇気をもらう。

がんばろう。

とりあえずがんばろう。


自分の手をぎゅっと握り、気合いを入れる。

弱気になってはいけないよね。

前向きに考えよう。
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