私とトロンボーン
1
友人に連れられて、私は音楽室の扉をくぐった。
そこにいたのはたくさんの、金色や銀色に光るそれだった。
「なんかかっこいい」
幼心にそう思った。
たくさんの人が席につき、楽器を組み立て、広げている。
はて?と、疑問が浮かんだ。
私は「人数が足りなくて困ってる」と聞いていた。
それにしては、人数が充分すぎる程に揃っているではないか。
疑問に思いながら、私は顧問の先生に連れられるまま、音楽準備室に入った。
そこで出会ったのは、彼……ではない。
彼とはまた別の彼だ。
銀色の鍵盤は少し錆ついていたが、変わらず綺麗な音を出してみせた彼…。
私は、鉄琴の担当になったのだ。
友人達が「足りなくて困って」いたのは、管楽器ではなかった。
パーカッションと呼ばれる打楽器だったのだ。
少し、いや、かなりがっかりした。
音楽室に入って目の当たりにしたのは、見たことのないかっこいい金色銀色達だったのに、私のそれはどうだろう?
同じ銀色でも、なんだかくすんで見える。
しかも、鉄琴は授業でもよく使っていた。
「お前はこれで充分だ」と言われているようで、悔しかった。
しかし、やると言った手前、今更「やっぱりやめます」は許されないだろう。
「ごめんね。打楽器しか残ってないの」
そう言った顧問の先生は、少し申し訳無さげに笑っていた。
恐らく、私の気持ちを見透かしていたに違いない。
今ならば、打楽器がどれほど重要で難しく、どれだけ必要なポジションかわかるが、当時はまだ私も若かったのだ。
.
そこにいたのはたくさんの、金色や銀色に光るそれだった。
「なんかかっこいい」
幼心にそう思った。
たくさんの人が席につき、楽器を組み立て、広げている。
はて?と、疑問が浮かんだ。
私は「人数が足りなくて困ってる」と聞いていた。
それにしては、人数が充分すぎる程に揃っているではないか。
疑問に思いながら、私は顧問の先生に連れられるまま、音楽準備室に入った。
そこで出会ったのは、彼……ではない。
彼とはまた別の彼だ。
銀色の鍵盤は少し錆ついていたが、変わらず綺麗な音を出してみせた彼…。
私は、鉄琴の担当になったのだ。
友人達が「足りなくて困って」いたのは、管楽器ではなかった。
パーカッションと呼ばれる打楽器だったのだ。
少し、いや、かなりがっかりした。
音楽室に入って目の当たりにしたのは、見たことのないかっこいい金色銀色達だったのに、私のそれはどうだろう?
同じ銀色でも、なんだかくすんで見える。
しかも、鉄琴は授業でもよく使っていた。
「お前はこれで充分だ」と言われているようで、悔しかった。
しかし、やると言った手前、今更「やっぱりやめます」は許されないだろう。
「ごめんね。打楽器しか残ってないの」
そう言った顧問の先生は、少し申し訳無さげに笑っていた。
恐らく、私の気持ちを見透かしていたに違いない。
今ならば、打楽器がどれほど重要で難しく、どれだけ必要なポジションかわかるが、当時はまだ私も若かったのだ。
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