寂しいなんて言わない
全部が一瞬で……
じゃあなんで、
あたしを抱き締めてるの?
なんで、
基夜も泣いてるの……………?
「あたし、別れたくない…… 嫌だよ………」
ギュッと基夜の制服を握り返す。
周りは静かに雪が降りだしていた。
「俺……もう、無理だ………由湖が好きだから……好きすぎて……でも離れそうな由湖見てたらもう、付き合えない…………ごめん」
最後に「ごめん」と呟くと
パッとあたしを抱き締めていた手を離して
「じゃあな」って言って
歩いていってしまった。
あたしは、力なくその場にペタンと
座り込んでしまった。