寂しいなんて言わない
麻都佳のお母さんの話が終わって
教室にはいる。
育成養護クラスは18人のクラスで、
7学科の中で一番
人数が少ない。
「中学から一緒の人しかいないからさ、自己紹介とかなくて、楽だね~!!」
先生が来るまでの時間に
麻都佳は、あたしの所にきて、
あたしが一人にならないようにしてくれる。
「うん……」
「…………由湖の隣の席誰だろうね?」
「誰だろうね……………」
たくさん話しかけてくれる麻都佳には
悪いけど、今はそんな気分にはなれない。
「………そこ、俺の席だよね?」
今にも泣きそうになってるあたしの頭を
優しく撫でてくれてるとき、
あたしの後ろから男の声が聞こえた。