私の幸せ
「お腹に、赤ちゃんがいます」
ゆっくり言ったお医者さん。
「え?私にですか?」

「そうだよ。だから、産む気はある?いきなりだけど、いまの状態だと栄養不足で赤ちゃんは死んでしまう。産むなら、雅ちゃんが栄養をたくさんとらなければいけないよ」

あっ…

『ちゃんと大事にな』

歩希…。
歩希は知ってた。
夢の中で教えてくれたんだ。

私のお腹の中には、歩希の子供。
歩希の生きた記し。
それを捨てる訳にはいかない。

大好きな歩希の子供。

この子がほしい。

「産みます。産みたいです」
私は言った。
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