蒼の鍵
第一章
「…ごめんなさい。」
頭を下げたのは相手の顔を見ないため。
…ずるい奴。
「そっかあ…。そうだよね。こちらこそごめんね。」
それじゃあ、と言って立ち去る名前もよく知らない彼。
彼が謝ることなど何もないのに。
最後までちゃんと顔見れなかったな。
心に小さな塊を残したまま私も教室を後にした。
「えー!!断っちゃったの!?」
べしっ!!!
「うるさい。」
喫茶店の端っこで大声を出す友達にメニューを投げつける。