アイソメ理論
この国に捨てられた
だから、この国を捨てた
生き延びるには仕方なくて
死ぬにはまだ無知すぎた
海に命を捧げて
現(うつ)つを彷徨う
海賊なんだ みんな
帰る場所なんてない
迎えてくれる人なんていない
それでもこの町に帰ってきたいと、身体が叫んでいる気がする。
だから
雪が何もかもを純白に染め上げて、血生臭い全てを覆い尽くしてくれる
この時期にあたし達の船は毎年ここに戻ってくる。
ジャラジャラと音を鳴らす足枷
戻ってこずには
いられないんだ―――