アイソメ理論
今年も家は残っているだろうか。
それとも今回こそ吹き飛ばされて、見ることのできないものになっているのだろうか。
散らばった木片や錆びた機材
人気(ひとけ)がないと思えば、歪に目を光らせる海賊や盗賊が目に入る。
確かにキサの温もりは感じるのに
渦巻くのは寂寥と、押さえようのない恐怖
「…ラズ、着いたよ」
そう優しく声をかけてもらうまで、キサの首元に顔を埋めて、暫く周りを見ることが出来なかった。
聴覚さえなくしてしまいたかった。
真っ白な静寂の中、どこからか聞こえてくる怒声に殺されそうで