アイソメ理論
顔をあげて目に入ったのは、最後に見た時より更に脆くなったように思える、今は住人無き空き家
元、あたしとキサの家
重たく雪を乗せた屋根は今にも崩れ落ちそうだ。
「前にちょっと掃除したけど、やっぱりまた汚れてるね」
ドアは開きっぱなしで、入ってすぐに見覚えのない割れた瓶がいくつか転がっていた。
…誰かここで喧嘩したんだな。
「人様の家に瓶投げ込むなって」
「…そんな今さら」
破片が足に刺さらないように避けながら部屋の奥に進む。
そこには、決して寝心地がいいとは言えないベッドがひとつ置いてあった。
ゆっくり座ると、ベッドはギギギという苦しそうな声で鳴いた。
長年放置されたそれは湿気やら色々なものを含んでいるようでお世辞にも気持ちよくなんて寝られない。