アイソメ理論


夜は、やっぱり身を寄せてベッドに入った。

船にある布団の方がまだ質はいい。
久しぶりの我が家のベッドは案の定寝心地が最悪だ。

でも、懐かしい。


「ベッド小さくなっちゃったね」

「そりゃ小さくなるだろーよ」


…違う、小さくなったんじゃない

あたしとキサが大きくなったんだ


ついこの間まで、2人してベッドを使ってピッタリだった気がするのに。

気付いたときには、こんなにもぎゅうぎゅうに距離が詰まっていた。


キサの腕枕が心地いい
苦しいくらい狭い距離がちょうどいい

産まれたのは一緒だったのに、同じ時間を過ごしてきたのに

あたしよりひとまわり大きいキサは「あぁ、やっぱり男なんだ」と実感してすごく心臓に悪い。

心臓がどきどきと早鐘のように鳴って痛い。

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