LOVE BOX~光を探して~
「どうした?」
大好きなCDと、音楽雑誌に包まれた空間。この部屋が……小さい頃から好きだった。
お父さんは基本的に誰にでも優しい。
朝帰りしてしまった時は怒られたけど、普段はとても穏やかな人。
「ん、あのね?一人暮らしをしたいの」
無茶は承知。
年齢も承知。
だからといってケンが帰ってきた時に、まさかこの実家で受け入れて?なんて言えるはずも無い。
包み隠さず話をした私に、お父さんは久しぶりに見る怒った顔をした。
「まだ子供の癖に、ふざけるなっ!!」
大きな声に本当は怖くて逃げ出してしまいたい。
だけどね?
私もここだけは退けないんだ。
ここで退いたら、ケンへの愛情さえも否定してしまうような、そんな錯覚に陥っていた。