LOVE BOX~光を探して~



2月。



今年も雪が降っている。私の誕生日には、かなりの確率で雪が降ることが多い。



相変わらず、風俗から足を洗えない私は……それでもケンを想う気持ちだけ、は変わっていないまま時を過ごす。



そして、3日後の赤ちゃんの命日。



その日は雪が止み、温かい陽が射していた。



私は仕事を休んで、ぐるりと巡る。



ケンに告白してしまったあのコーヒーショップ、毎日乗っていた地下鉄、デートを重ねた公園



思い出と一緒に歩いていると涙が零れそうになる。だから上を見上げる。



ケンと繋がる空。



赤ちゃんがきっと待っててくれる空のどこか。



最終的に行きつくのはやっぱりこの場所で……。



すり抜ける忙しそうな、でも幸せそうな人達は変わらないのに……。



脳裏に、ケンが大好きだった曲がエンドレスで流れた。



クリスマスのラブソング。



いつまでも手を繋いで、いられるような気がしていた、そんな歌詞。



私も……そう思ってた。



私は改札前のベンチに腰掛けて、何時間でもそうしていた。


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