LOVE BOX~光を探して~
運命が何かの必然性によって糸を引かれているんだとしたら、私がソレイユを辞めた事も、今日マサトを振り切った事も、こうしてナナさんと逢えた事も全部が必要な事なのかもしれない。
お店に入ってビールを飲みながらこれまでの事を聞いてもらいながら、そんな事を思う。
小さなパブ。
ナナさんの高校時代の同級生だと言う男の従業員さんが二人。
カウンターテーブルとスロットの機械が一台。
自慢だと言うレタスチャーハンの香りが溢れる。
そんな静かな店内でぽつりぽつり語る私の声だけが響き渡る。
「辛かったね」
よしよしと頭を撫でてくれる手にまた……泣けてしまう。
こんなに全てを誰かに語った事は無かった。全部胸に秘めて……ケンが来るんだと言い張って……。
私、無理してたんだ。
まさか……無理してたことにも、自分では気がついていなかっただなんて。