LOVE BOX~光を探して~



手帳にはお守りのようにケンの住所が入っている。



行った事の無い場所。その場所に想いを馳せながら眠る私は、きっと本当に幸せな顔をしていた……と思う。



年が明け……いつでも辞められるように、それととりあえずの生活を確保する為に、ナナさんの勧めもあって私はホステスになった。



お酒の相手をする仕事。



月収は今までの1/3になったけれど生きていくには充分足りる。



バスローブをかっちりとしたスーツやドレスに着替え、これまで学んだ接客のコツを生かして働く事は思っていたよりも難しくなかった。



時には芸能人がやってくる静かで落ち着いた店。



大理石のテーブルに花を模った可愛らしい灰皿。



今までマサトやコウキがそうしてきたように、今度は私がお酒を作り、灰皿を変える。



「あやちゃん!次3番テーブルね」



「はいっ!!店長」



「あや」とお別れする日まで、残りを精一杯頑張ろう。やり切れなかった事を後悔しないように。


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