LOVE BOX~光を探して~



夜になると。


「葵さ、今日カザネの格好しておけよ」



「……飲み?」



「もちろん!」



カザネとは……当時流行っていた中性的なバンドのボーカル。もちろん二人で好きだったんだけど、彼は私がそんな格好をする事を望んだ。



「俺の嫁。子カザネっぽいでしょ?」



そう言っては何処へでも連れ歩く。



確かに、その人と私の顔は化粧を濃くすれば似てなくも無かったけれど……。



着せ替え人形のように私はただ、お飾りとして隣で笑っているだけ。



所詮見た目だけの存在なのかと思うと、少し切なくなる。



さすがにカザネは男だったから、先生と付き合っていた頃のように身代わりだとは思わなかったのが救いなくらい?


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