LOVE BOX~光を探して~
その日から、私の毎日は変わった。
ケンは先輩に大好きなはずのギターのパートを譲り、器用にドラムを叩き始めた。
まだ見つからないベースを慣れないながらも私がサポートをして、しゃがれた声を張り上げる姿が印象的な将君も、いつしかこのバンドで歌い始めた。
学校では同じ活動をする仲間。
放課後は一緒に同じ夢を追う仲間。
プロになりたい!なんて、そんな事は思わなかったけど大好きなバンドの曲を4人で作り上げていく過程がただ楽しくて、日々のめり込む。
「葵!これありがと!6曲目が俺は好きだな~」
「うん♪あのギターの感じケン好きそうだよね?」
互いにCDの貸し借りをしたり、電車に乗って遠くのスタジオへ行ったり。
一番ケンに近い徳井先輩が少しだけ恨めしい。というか羨ましかったりはするけれど。
どんどんドラムの腕が上達していく度、私にも笑いかけてくれる時間が増えていく。
ケン……私、もう黙ってられないかもしれない。
側にいれるだけで幸せだって思ってたのに、仲間じゃなくて、もっと側に行きたいよ。