LOVE BOX~光を探して~
「じゃあこれから俺が彼氏でいいの?」
彼氏。
ケンが私の彼氏。
どうしようもないぐらい、幸せで夢のような時間に思考がついて行かない。
「うん……よろしくね!」
それだけを言うのがやっと。
気恥ずかしいまま、一緒にお店を出た時には、既に日が暮れかけていた。
夕日の中、まだ手も繋げない緊張した二人だったけど、勇気を出して一つだけお願いをする。
高校に入ったらずっとやってみたい事があったの。
「ケンってさ、--駅から乗り換えだよね?一緒に……学校行きたいんだけど……」
いきなりワガママかな?
おそるおそる見上げてみると、ケンは私に向き直り
「いいよ」
と少し照れながら言った。
一緒にいられるのはたった6駅だけ。
それでもいい。
今までにない距離で二人寄り添いながら一緒に帰る。
それは、今まで知らなかった幸せな一時。
こんな時間がこれからずっと続くんだって、何も疑わずただそう思ってた。