LOVE BOX~光を探して~
甘い甘い日々



暗い地下鉄のホームで毎朝一度電車を降りる。



もちろん、乗り換えてくるケンを待つために。



駅特有のあまり好きじゃない淀んだ空気を吸いながら、ただ一心に階段を見つめる。



すると、最初に見える細くて長い足。


それだけでケンだって分かる。



「おはようっ!!」



待ちきれずに駆け寄ると



「おはよう」



そう言って笑顔を私にくれる。



二人で一緒に学校に通い始めて1週間。


混雑した車内でふと手が触れた。


ケンの大きな手が、慌てて引っ込めようとした私の手を優しくぎゅうっと包みこむ。



幸せすぎて……その場に倒れちゃうんじゃないかって思ったよ。


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