LOVE BOX~光を探して~



宣告された一週間後。



逃げたい……だけど一人じゃそれすら無理。



例によって診察台へと上がる。



カチャカチャと音を立てる器具が気持ち悪くて……ただ通り過ぎるのを待つ。



内診を終え、診察室で対面した男の先生は、とても強くて温かい人だった。



「どうするか決めましたか?」



「産みたい……けど無理なんです」



「…………」



「誰も……賛成してくれないんです」



そう言って泣く私の体を、先生は激しく掴んで揺さぶり「だったら産みなさい!」を連呼した。



産みたい。



産みたかったよ?



だけど……一人じゃ闘えないよ。



涙を拭いて診察室を後にした。私の手には手術の同意書が握り締められていた。



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