LOVE BOX~光を探して~
世間は春休みを過ぎ~あのまま学校に行っていればきっと新学期を迎えていたハズ。
もう、袖を通す事のない制服を見ながら……同い年ぐらいの子が通り過ぎて行くのを見る度に、溜め息ばかりが止まらない。
ケンは一体どこにいるんだろう?
日本って……なんでこんなに広いんだろう?
家族ぐるみで引っ越していったケンの家の前まで、そっと行ってみた事もあった。
だけどそこには……人の気配は感じられない。
空き家が存在するだけで、その事実はまた……私の心を重くした。
16歳から働ける求人が想像以上に少ない事に文句を言いながら、フリーターになった私は今日も笑顔をお客さんに向ける。
「いらっしゃいませ♪」
こうしていなければ……笑顔さえ忘れてしまいそうで、なんだか怖いよ。