お嬢様の秘密Ⅱ
私………


どうすればいいの………


「莉依紗………入るわね。」


お母さん………が入ってきた。


「私のことは好きに呼べばいいわ、ユリ様。」


「なんで私を様付けするの………。」


「そういうルールがあるのよ。

ねえ………どうしたいの?早めに決めなくちゃいけないんでしょ?」


「うん………しかも明日お義父様………つまり祖父が呼んでるって言われた。」


「会長が………。会長はあなたを後継者とすることを諦めていなかったんだわ。

あなたは重要な警察関係者の一族でもあり秋本家の後継者。

できればどっちかを継いでほしいのよ………もちろんあなたの意思を尊重するわ。」


施設に預けなかったのはそういうことなんだ。


両親ともに偉い人だったから。


「もう休ませて。………考えさせて。」


「分かったわ、ユリ様。理央、あとは頼んだわよ。」


「かしこまりました。」


もう………夕食の時間はとっくに過ぎているけど食欲がわかない。


「温かい紅茶をお持ちいたしました。少しでもお飲みください。」


「ありがとう………。理央はどうして執事をやっているの?他の仕事もあったでしょ?」


急に質問されて驚いていたがすぐに表情を戻した。


「小さい頃から秋本家のためにお仕えしろと、言われてきましたので………。

でも後悔はしていません。お嬢様のような立派な方にお仕えすることが出来ているのですから。」


「私はそんな大した人じゃないわよ………。」


人の声を素直に信じることが出来ない………臆病者。


今だってローゼ様の話は嘘だってどこかで疑っているもの。


「理央。今日はもういいわ………。明日の準備はよろしくね。」


「了解しました。」


考えることが多くて私は眠ることが出来なかった。
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