お嬢様の秘密Ⅱ
起きて鏡を確認すればなかなかの悲惨な顔。


メイドさんたちに何があってもちゃんと寝ろと泣きつかれてしまった。


寝不足の顔をなんとかメイクでごまかし、制服は着たくないのでそれなりの正装を準備させられた。


………緊張する………


「お嬢様、私はお嬢様が学園にいらっしゃらない限り影に隠れませんので。

どうぞご用をお申し付けください。」


「分かったわ………たぶんないと思うけど。

………私って苗字は本当に秋本でいいのよね?」


お母さん………沙那は稲生だって莉依紗様言ってたけど。


私の存在を隠したいなら苗字を変えればよかったのに。


「はい。歴とした方ですよ。自信をお持ちください。

私も初めてお会いした時今のお嬢様のように緊張いたしました。

玲央もそうですよ。でもお優しい方ですからご安心ください。」


「ユリお嬢様。お車の用意が出来ております。」


「今行きますわ。」


普段は使わないお嬢様言葉を使い、上品さを保つように努力している。


………緊張をまぎらわせたいからいろんなことをやっているだけだけど。


今日の車はうちの所有車ではなく、お祖父様が手配してくださったもの。


この車だと入場手続きを省いてくれるんだって。


秋本家の許可を得ていることが一目で分かるらしいから。


白いリムジンに座り、私は髪形を崩さないように仮眠させてもらうことにした。
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