お嬢様の秘密Ⅱ
距離は1メートルほどあるのに威圧感がすごい……。


「そんな怖がらずともよいではないか………。」


苦笑した祖父。


それだけで一気に空気が和んだ気がした。


「旦那様………。威圧感が自然に出てしまっていますよ………。」


広大さんが私たちの分の飲み物を用意しながらつっこむ。


「さっきまで商談をしていたのだ。しょうがないではないか。」


言われてみると………確かに高級感漂うスーツに身を包んでいる。


あ、挨拶まだだ………。


「初めまして………お祖父様。お目にかかれて光栄でございます。」


「そんな畏まらずとも………。沙那がよほど厳しく育てたんだな。」


「お嬢様には確かにマナーは徹底させていました。そのおかげか、学園では困りませんでした。」


どうりで普段ありえないシチュエーションでのマナーもやらされたんだ………。


茶会やパーティーの時のマナーとかね。


「自然に喋ってくれないか、緊張しているにはわからんでもないが。

ユリ、もう少し近づいておいで。」


ーコツコツ


私のゆっくりとした足音が部屋に響き渡る。


さらにお祖父様との距離をゆっくりと縮めていく。


目の前の人は………ただの祖父の顔をしていた。

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