お嬢様の秘密Ⅱ
「沙那様の子供はまだ8歳で警察の方を継がせても、親の方が定年ギリギリでとてもじゃないけど教えきれないんだろ?」


「そう………お母さんは元警察官僚だから再就職したとしても子供に力を持たせるのは難しいって。

なんか………子供が1人前になるまでしっかり仕込むっていう山岸家特有の掟があるみたい。」


「なんか色々縛られてるんだな………俺たちってさ。」


「そうだね………。財力や地位をある程度持っているものの宿命かな………。

私は秋本家を継いで、葵の隣にいることができるようにしたいの。

………どんな私でもいいって言ってくれたけど、それを葵の負担になんてさせたくないから。」


「俺は負担なんて………。」


ー奥の手を使おうか………


私は右手を伸ばして葵の顎をそっと下げ、不意打ちでキスをした。


目が丸くなってしまった葵を見て、思わず笑ってしまった。


「………葵、固まらないでよ。………そんなに嫌だったの?」


「あ………いや………不意打ちは弱くてな……。わかったよ……俺も手伝うから頼ってこいよ。」


「うん!ありがとう!!」





話が一区切りし、お茶を飲み直したところで理央が様子を見に来た。


「葵様。ご安心なさいましたか?」


「ああ………。理央兄なら任せられるけどいてもたってもいられなくてさ………。」


少し照れたように笑う葵に思わずキュンとしてしまった。


「葵様。今日からしばらくは秋本家にお泊りくださいませ。ご実家は少し距離がございますし。

沙那様は事情を全て知っておられて奥様と相談して、葵様をしばらく預からせていただくことになりました。

これは吉崎を通して高澤家に連絡しておりますので。」


「わかった。」


「ねえ理央………。これから何があっても私に協力するって約束してくれる?」


理央は驚いた表情を見せたけど、すぐに私に頭を下げた。


「もちろんでございます。………お嬢様。」






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