お嬢様の秘密Ⅱ
「ユリ、そこに座ったら?理央が困ってるよ?」


「あ……ごめんなさい……。」


「お気になさらず。奈々子奥様はジャスミンティーがお好きだったと料理長から教えてくれたので淹れてみました。」


コップからとてもいい香りが部屋に広がっていくようだった。





「さあ本題に入ろうか………。」


お父さんは真剣な顔つきになった。


「まずユリには謝らなくちゃいけないな………。今まですまなかった。」


お父さんは私に頭を下げた。


「ちょっと………もういいよ………。私も頭を冷やしたわ。お父さんたちは悪くはないよ。」


「ユリ………ありがとう………。」


「先ほどから思っていましたがお嬢様と旦那様ってお会いしたことがあるんですね………。」


「ああ。沙那を手伝っていたお前にバレないようにユリに会っていた。

ユリが小さい頃に会った父親は沙那の夫だ。だからユリは小さい頃から家族写真を撮ったことがなかっただろ?」


言われてみれば………。


「撮ったことないかも。それって誰が私の顔を見てお父さんたちの娘だって気づくか分からなかったから?」


「そうだ……。りいにもお袋にも似ていたからな。………ユリは親父と会ったんだよな?」


「会ったよ……。でもなんで?」


どうしてそんな心配そうな目で見てくるの………?


「………お袋の話をしていたか?」


「ええ………良く似てるって………。」


「やっぱりか………。親父とお袋は相思相愛でな、異常に依存し合っていたんだよ。お袋の事情が原因らしいけど。」


その事情は聞いたことないみたい。


お父さんは理央に目で合図し、理央は部屋にあったアルバムを取り出してきた。
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