お嬢様の秘密Ⅱ
「お嬢様。開いて見てください。」


私は恐る恐る受け取り、そっと表紙を開いた。


「…………え?」


…………似ているっていうレベルじゃない…………


「こちらの写真が同じ頃のお嬢様の写真です。」


「これは………驚いた。………同一人物だって言ってもばれないじゃないか。親父がユリを1番気にかけているのが良くわかる。」


「お祖母様にそっくりとは言われたの。だけどこんなに似ているなんて………。」


「親父がユリを継がせたいのはユリを1番気に入っているのと、容姿だと思う。」


私の………容姿?


「お袋の血筋を強く引いた子がいいんだろうな。お袋は元は資産家の令嬢らしいから。事情で庶民暮らしだったって聞いたから。」


「お祖母様と似ていると利点あるの?」


「親父が過保護にユリを守りたがっているだけだと思うよ。お袋がカフェで弱い毒薬を飲んでしまったのはりいに聞いただろ?」


「大旦那様はその二の舞が怖いんですね………。」


みんなそこまでして私を守っていたの………?


なんで………


「なあユリ。お前はまだ認められないことばかりかもしれない。だけど俺らは守っていきたいと思っている。

俺だってりいだって………。友達だっているだろ?前に会った時も楽しそうに話してくれたじゃないか。

自分で背負い込まずに周りに少しでも自分の思ったことを話してほしい。」


ああ………改めて気づかされたのかもしれない。


私が隠していることを夏菜に話せずにいたら寂しそうな顔をしていた理由も。


何気なく私に話しかけて様子を確認してくれた学園長も。


私のことを受け止めてくれる葵も。


互いを思い合っているから私は人を信じることが出来たんだ。


……人を好きになることが出来たんだ。


守られっぱなし、だったのかな………私って。
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