お嬢様の秘密Ⅱ
「学園に戻ったら俺らから極力離れるな………。」


「うん………。この前のこともあって誰か必ずいるようにしてくれたし。………お祖父様がまずご立腹だから。」


「でも頼ることは出来ない………そうだろ?」


ああやっぱり葵は分かっている。


いくらお祖父様が私に好意的だったとしても、あくまで私は急に浮かんできた後継者候補の1人にすぎない。


それに私のことは公表されていないから知らない人が多い。


そんな中で私を表立って贔屓することは出来ない………お父様であっても。


「理央兄がユリの味方でよかったよ。………そういえば理央兄は執事やれないんだよな?」


「そうだった………どうしよう………。」


理央が私の執事だってことがバレたらややこしくなる………。





「心配なさらずともよろしいですよ。」


………この声は。


「葵様、10分が経ちましたのでお迎えに上がった次第でございます。」


「ああ。………ユリ、どちら様?」


「葵は会ったことないのね……。お祖父様の執事をなさている広大さんよ。」


でもお祖父様に仕えているはず……どうして?


「理由は後でご説明いたします。今から会議を始めます。他の皆様はもうお集まりですのでユリお嬢様も葵様もお急ぎくださいませ。」


「会議ってなんの?」


「分かった、案内をよろしく。ユリ、行けばわかるから。」


ーグイッ


「行くぞ。」


私は葵に引っ張られるようにして、みんなが集まっている場所へと向かった。
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