お嬢様の秘密Ⅱ
私は音を立てずに立ち、フウっとため息を吐いた。


「すでにご存知のこととは思いますが、私は秋本家、山岸家両家の後継者候補として名乗りをあげたいと思います。

理由は今まで私を守り続けてくれた人たちを守りたい………その想いからです。」


経済学には興味があったからっていう理由もあったけど、今は細々話していられないかな。


多分他のみんなもその点は分かっているはず……


「ユリ様。ありがとうございます。………会議の経験を積んだものたちの前で堂々と意見を述べられることは素晴らしいことですわ。」


………それで私に話を振ったんだ………


広大さんは厳しい目つきをふと緩めた。


「旦那様がこのお姿を見たらお喜びになると思いますよ。自信をお持ちくださいませ。」


「ありがとうございます。お母様?これでよろしいですか?」


「ええ。私達は言葉より目を見るの。それで人となりを判断するのよ。

広大さんがお褒めになることはあまりございませんから珍しくて戸惑ってしまったわ。」


そんなに厳しいの………さすがお祖父様に長年お仕えなさっている人ね………。


「次は………この1年にあったことを詳しく教えていただきましょうか。

……その話を元に今回の会議のメインテーマである、真理亜について話さなきゃいけないから。」


大げさに聞こえるかもしれないけどいたって私たちは大真面目だ。


秋本家の人事は、山岸家もそうだけど日本や世界の経済に大きく影響すると言われている。


後継者は悪ければ経済にも影響するし、何より競争に負けて一気に衰退してしまう原因にもなってしまう。


だからこんなに慎重になっているんだ。




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